逆さ水松:上ノ国町

天文17年(1548)勝山の城代だった南条越中守広継の妻が、松前家四祖季広の長女であったのに女では家を継げず藩主になることができないのを無念に思っていた。
そこで、娘婿の基広に家をつがせようとし、基広をそそのかして蠣崎季広(広継の妻の実父で藩主)を人を使って殺害しようとしたが、ばれてしまい、基広は季広に討たれてしまった。
広継の妻は、今度は自分の夫に家督を継がせたいと考え、広継の妻の実弟の舜広、元広を毒殺した。たが、そのことが露顕して広継の妻は自害させられた。

夫の広継も当然追及を受けたが、広継は固く身の潔白を誓い、礼服に身を固め棺に入り、自ら命を絶った。
その時、一本の水松を棺の上に逆さにいけさせ
「水松が根付いたら身に悪心ない証であり、三年たっても遺骸が腐っていなかったら、それこそ潔白のあかしである」と遺言し、節を抜いた青竹で呼吸しながら鉦を鳴らし経文を読誦した。鉦の音と読経の声は三週間も続いたという。
三年たってその水松が成長し、さかさオンコになったという。

レポートと解説

2003年8月10日に、調査に行ってきました。
桂岡地区の愛宕神社は道道5号線沿い、上ノ国~木古内間を結ぶ道沿いにありました。この日は台風の影響で雨がしとしとと降り、悲しい伝説を残す神社も独特の雰囲気を醸し出していました。

神社の入り口に、上ノ国町の解説板を発見。

すっげー見るのが大変。下からじゃよく読めないし。写真も撮れないし。

それでも、何とか草が雨にぬれて滑りやすい中、解説板の前に行って資料用に撮影。
目指すオンコの木は、神社の建物から少し離れた奥の場所にありました。周囲は杉林なので、オンコの木はすぐわかると思います。この木にも解説板があり、北海道保護樹林に指定されています。

蠣崎基広【永正6~天文17(1509~48)】について

彼はこの事件当時上ノ国地方を治めていましたが、藩主の座を奪おうと真言僧に祈祷させたりもしていたそうです。
しかし、宗家の季広が上ノ国へ来た時に謀殺しようとしたが失敗。季広の臣長門広益(ながとひろため)に殺されました。

死後その亡霊が暴れたので、勝山館の敷地に荒神堂を建てて祀り、そのお墓も荒神様と呼ばれました。
飛んで昭和のはじめころ、荒神様のお墓西側から頭蓋骨が一つ、農夫の鍬にかかって出てきましたが、その農夫はそのまま下の谷へ転がしてしまいました。
すると、その農夫はやがて病気になり、陣羽織を着た侍がにらんでいるとうわ言を言いながら死んでしまったという話も伝わっています。

南条越中守広継の妻について

天文21年(1552)、自害させられた(一説には計画がばれて憤死したとも)広継の妻を、実父である松前家第四世季広が哀れに思い、その遺体をを福島町長泉寺(現在の法界寺)に葬り、高嶽院殿玉簾(こうがくいんでんぎょくれん)貞深大姉と号し、福島川を牌所料、長泉寺領として与えました。
ところが長泉寺領となった途端、福島川(当時は折加内川と呼称)に上っていた鮭が全く捕れなくなりました。人々は広継の妻の恨みで鮭が捕れなくなったと噂し、魚の棲まなくなった福島川を精進川と呼ぶようになりました。
それから33年間鮭が上ることはなかったのですが、三十三回忌が行われて以降、福島川にまた鮭が遡上するようになったそう。
また、この天正13年(1585)に、河中から一尺五寸(45センチメ-トル余)の阿弥陀如来像が出現し、長泉寺の本尊として村内の崇敬を集めたといい、これを機会に宗旨、寺号を改め、浄土宗観念山寿量院法界寺という寺号となり、立派な寺院を建設しました。

※参考:福島町史 

南条安右衛門の墓

逆さ水松のそばに、上ノ国町では最古と言われているお墓があります。
「南条安右衛門の墓」といわれているのですが、現地の2枚ある看板にはそれぞれ異なる説明が書いてあるのです・・・。
上ノ国町看板(神社入り口にあるもの)より

逆さ水松と南条安右衛門の墓
南条安右衛門包元は、広継の子孫で、延宝元年(1673)に上ノ国村支トカフで入定したという。
墓の台石には、「宗天居士延宝二年八月五日施主南条安右亟」とある。
上ノ国で最古の銘を持つ墓である。
(上ノ国村史より)

北海道解説板(イチイの木の前に立っているもの)より

この木は樹齢300年ほどのイチイ(オンコ)で、桂岡愛宕神社のはずれに墓があり、その墓は墓碑銘によると南条越中広継の墓とされ、このイチイは広継の死を悼んで植栽されたものと言われており、ご神木として地元住民に敬愛されています。

つまり、「南条安右衛門の墓」説と、「南条広継の墓」説が・・・。
・・・・・・でもきっと、上ノ国町解説板が正しいと思います。
広継さんはイチイの木の下に眠っているはずですし、上には書きませんでしたが、墓石がどのように運ばれてきたのかまで、細かく書かれているからです。
きちんと調査して間違いのないように立てて欲しいものですね。

所在地
上ノ国町桂岡・愛宕神社(道道5号線沿い)
参考文献
1/p.43 2/p.10 18/p.66,153 21/p.67
関連ホームページ

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