北斗市茂辺地にある曹渓寺のご紹介をしたいのですが、その前に同じ市内の矢不来天満宮に伝わる伝説をご覧ください。
矢不来天満宮の天神様(菅原道真像)は、赤松の上に乗ってこの地に流れ着き、流れ着いた浜辺には赤松の大木が生えた。そして、この地に矢不来天満宮が建てられた(注:現在は移転している)。
昭和5年(1930)、上磯~木古内間に鉄道架設工事が始まり、この大木を伐ろうとしたが、旭川から連れて来た腕のいい木こりでも伐ることが出来なかった。
ある夜、その木こりの夢に老人が現れて、「切り口に葦を挟んで伐るとよい」と教えたので、その通りにするとようやく伐ることが出来た。 しかし、その後伐った木こりもお祓いをした神官も死んでしまったという。
鉄道開通後も走行中の汽車の中に、白衣の老人の霊が現れると騒がれたため、伐った木の一部を矢不来天満宮に祀って木の霊を鎮めたという。
当サイト内「矢不来天満宮」より
この祟りのあったという赤松は、現在矢不来天満宮境内に祀られていまして、参拝すると誰でも自由に見ることができます。
さて、このいわくつきの赤松を別の場所でも見ることができます。しかも美しい姿で。それが、冒頭の写真の曹渓寺さんです。ここでは、なんと、その赤松が三十三体の観音様となって、安置されているのです。なぜ神社に関係する御神木であった木が、姿を変えてお寺に安置されるようになったのでしょう。
当時、この赤松の祟りの話は、この界隈ではかなりの噂となっていたようで、「北海道の伝説(須藤隆仙著)」には、著者が幼い頃に聞いた話として、あらゆる祟りの噂があったことが綴られています。今でも語り継がれるほどのインパクトを残している御神木は、それほどまでに大きな存在であったと考えられます。
その赤松の霊を慰めるために、曹渓寺の信徒をはじめ、付近の住民が浄財を集めて、岩内の仏師に依頼して御神木で作像させたのが、曹渓寺に安置されている「三十三観音像」なのです。こうして、神社の御神木は仏様に変化したのでした。
この話を知って、実際に曹渓寺さんにお邪魔して観音像を拝見させていただきました。突然思い立って訪問したにもかかわらず、案内してくださって丁寧にご説明していただくなど、大変お世話になりました。
通された本堂には、ずらりと観音様が並べられていました。本当に圧巻。見た瞬間に「わぁっ!」と声が思わず出てしまうような。出来上がった素晴らしい観音様を見た人々は、きっと安心しただろうなぁ・・・。
また、円空作の仏像もありました。ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょう。
<龍洞山曹渓寺>
曹洞宗。大正12年創立ですが、享保16年(1731年)高龍寺九世和尚が開いた宝樹庵が前身。本尊は釈迦牟尼仏。北斗市茂辺地4-4-37。
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