効能と浴槽の温度

「実は温泉入浴に明確な効能というものはほとんど期待できない」という話を聞いたことがありまして、気になっていたんです。

効能の罠

その話によると、「含有成分によっての適応症と禁忌症はあるが効能というのは疑問。」ということらしいのです。適応症とは、「その人は入ってもいいですよ」とのことで、決して治療効果がありますよ、との事ではないそうです。

実は『効能』という言葉は公的に使ってはいけないそうです。とはいえ、温泉療法というのは実際に認められているわけですから、全く健康に関係ないとうわけではないのでしょうが、科学的に分析してしまうと『効能』というものはほとんど期待できないし、宣伝してはいけないものなんだそうです。でも、いい温泉に入ると、「キイタァ~。なおったぁ~。」って感じはしますけどねえ。

ただ、飲泉のほうは効果が多少見込まれる場合もあるそうです。貧血気味の人が鉄泉を飲むとかが代表例だそうです。その場合、当然入浴も合わせて行うので、そういうのは湯治なんでしょうけどね。
なんにしても、本格的な効能を求めるならば、温泉療法士の資格をもった医師に相談することが第一条件だそうです。

また、禁忌症というのもあって、素人考えで温泉療法を行うと、かえって病気を進行させてしまうということもあるそうなので注意が必要です。
もっとも、温泉を楽しむという観点からは、心も体もリラックス。「効能、大いにあり」でいいんじゃないでしょうか。

浴槽の温度

個人的には熱い温泉が好きでして、そのあとにビールをキューッとやるのが人生の醍醐味だと思っているのですが、体にははっきり言って良くないそうです。
風邪のときに体温計を使うと思いますが、あれは42度までしかありませんね。人間の体は42度にまで上がると脳のたんぱく質がゆだってしまって死んでしまうそうです。

温泉の温度もこれと同じようなことが言えるそうで、42度以上の湯船につかった場合、体の表面から危険信号が脳に送られ、アドレナリンが大量に分泌され、興奮状態となり体は防御体制を整えるそうです。
さらに、その後熱さに慣れると人間の恒常性(体のバランスを保つ機能みたいなもん)によって、体は興奮状態を収束させて心拍数や血圧を通常に戻そうとしますが、高温にさらされているために血管が広がったままで、危険な状態になることがあるそうです。
このために、意識を失ったりすることがあるのだそうです。熱い風呂に入ったときに眠気を覚えたら意識を失う可能性もあるので、一刻も早く上がることが必要だそうです。

通常、健康によい温度は40度前後のお湯に、半身浴で20分ほどつかると良いと聞いたことがあります。
もちろん個人の好みもありますので、何がよいとか悪いとかはありません。ただ、高温や激熱の浴槽に入って、入った後にくたくたになって飲むビールはやめられないんですよ。

素朴な疑問

温泉についていろいろ書いてきたのですが、素朴な疑問がわいてきたんです。温泉に詳しい方でお答えいただける方がいたら、教えてくださるとうれしいです。

○温泉法ってありますが、それによると源泉が25度以上あれば無条件で温泉、さらに25度以下でも、規定の成分が一定量含まれていれば温泉として認められる・・・みたいなことを書いてましたが、井戸水をあっためたらそれは単純泉と同じなんですかね。(法律上は別でしょうけど、成分的に同じなのでは?)

というような疑問を書いていたら、それが2004年温泉偽装問題で取りざたされてました。現実に上記の事が温泉施設で行われてたわけです。 _| ̄|○<本当にやるなよ・・・

・・・長々といろいろ書いてきましたが、ただ受身で温泉を楽しむよりも、ちょっと知識があると、温泉は2倍にも3倍にも楽しめます。
また、面倒くさいこと抜きにしても、温泉は我々にとって、地球からの素晴らしい贈り物であるということは変わらないと思います。

温泉は地表から数十年~数百年かかってしみこんでいった水が再び母なる地球のぬくもりによって温められ、再び我々の前に姿を現したものです。
温泉を楽しみながらも、自分たちの体を洗ったシャンプーや石鹸が環境に及ぼす影響も無視できません。温泉を楽しみつつ、つねに温泉や温泉を生み出す環境に感謝する気持ちは持ち続けたいものです。