しばらく進むと、さらに道は悪くなりました。
今度はゴツゴツした岩が道に現れました。
これはただ事ではありません。
タイヤがパンクする可能性があります。
そうなったらこの山の中、私一人ではなすすべがありません。
もちろんタイヤくらい一人で換えられます。
ただし平地限定です。
こんな急斜面ではどう考えても無理です。
だから、こんな路面になったらすぐに引き返します。
今ならね。
そう、私はこの時なぜか「まだ行ける!」と思ったのです。
愚かな・・・。
その急斜面を下りると、杉林に出ました。
そうです。軽トラックのおじさんが言っていた林です。
どうやら植林された林のようで、枝が切り払われています。
そして、その切り払われた枝は、
道を覆いつくしています!
しかも、あろうことかすでに私の車は、その枝だらけの道に
足を踏み入れていました!
「ミシ、パリ、グシャ」
その枝だらけの道(しかも、ちょっとぬかるんでいる)を進むたびに鳴る音たち。
「これはヤバいのでは!?」
この時、初めてそう思いました(爆)。
遅すぎる・・・。気づくのが遅すぎるよ!自分!
「もう引き返そう・・・。きっと道を間違ったんだ。
そうだ、あの分岐だ。あそこまで戻ってみよう。
・・・・お!あとちょっとで切り返しの出来そうな道があるぞ。
あそこで切り返して戻ろう!」
というわけで、少し進んだところにあるT字の道で切り返そうとしました。
まず、行き止まりの道に頭をつっこみ、
バックで下り坂を下りてまたもとの道に戻ろうとしたのです。
(文章ではわかりづらいです。のちほど図が出ます。)
バックで下り坂を下りるまでは、何事もありませんでした。
さあ、いよいよもとの道へ戻ろうとギアをローに入れ、
アクセルをふかした瞬間、
「ずぎゅるるるるるるるるるる・・・」
車が坂を上らない!?
つまり、こうなったのです。
下の図をご覧ください。
黒い太いのが道ですよ~。下手ですみません。
OH!なんということでしょう。
このどこともわからぬ山の中で、ついに車がスタックしてしまったのです!
このまま下っていっても、図の通り道は結構深い川にさえぎられて、
重機じゃないと渡れそうにありません(泣)
なにより、もうこれ以上進んでも何もないことは、あたりの雰囲気でわかります。
まずは落ち着いて、4WDのモードを変えてみよう。
ローレンジにして(スピードは全くでないが力持ちなモード)、ゆっくりアクセル・・・。
「ずぎゅるるるるるるるるるる・・・」
・・・・・・・・・。だめだ。
とりあえず、タイヤと地面の様子を見てみようと思い、車を降りて見てみると・・・。
タイヤはもうパッと見で「貴様は泥団子か!」ってくらいになっていまして。
地面はぬるぬるのツルツル。
私は自力での脱出をあきらめました。
車は一人ではどうしようもなかったのです。
それに、ある物も見つけてしまいました。
馬鹿でかい熊の糞です。
それはもうそこらじゅうにありました。
時計は2時半を回っていました。
ここで一人で頑張ったところで、夕方になったら熊が絶対出てくる!
ていうか、今すぐ出てもおかしくない!