ヨシ島:江差町

昔、泊川の岸辺に、粗末な小屋に住む貧しい漁師の父娘がいた。ヨシというその6~7歳の娘は評判の孝行娘で、父と仲むつまじく貧しいながらも幸せな生活を送っていた。父の漁師も働き者で、沖の漁場には毎朝夜も明けぬ暗いうちから、誰よりも早く漁に出た。

ヨシが目を覚ました時にはすでに父は漁に出ていたため、ヨシはいつも一人ぼっちで寂しく思っていた。ヨシは何度も父に漁に連れて行ってくれるように頼んだが、父は危険だからなのかそれを許さなかった。

ある日、ついにヨシは夜中に布団を抜け出して父が船に乗る前にこっそり乗り込んだ。
船の中にムシロがあったので、それをかぶって夜が明けるのをじっと待っていたが、ほとんど寝ずにいたため朝方になってそのまま眠ってしまった。
そうとは知らない父は、いつものように海に船を出した。

まだ日が昇らない中、漁の作業をしていたその時、眠りから覚めたヨシが突然ムシロをはねのけて起き上がると、「お父う!」と呼びかけた。
父は大変驚き、驚きのあまり目の前にいるのが娘だと信じられずに、暗闇の中で「お前は何だ!狐か河童か知らんが、人をだまそうったってそうはいかんぞ!」と怒鳴り、驚いて声も出ないヨシの体にムシロを巻いて、有無を言わさず暗い海中に投げ込むと、あわてて逃げ帰ってきた。

娘が心配になり、家に入って名前を呼んで探したが、ヨシは見当たらない。この時、はじめて父は自分のしたことを理解した。
あわてて海に引き返して、漁のために集まってきた他の漁師たちと共に捜索したが、ついにヨシの姿を見つけ出すことはできなかった。
諦めきれない父親は、毎晩浜辺に迎え火を焚いて待ち続けたが、
ある日風のように沖の方から娘の声が聞こえてきた。

「おらはもう人間に還れないけど、姿を変えて海に出ます。お父うをだましたおらが悪かったんだ。魚ばいっぱい寄せておくので、いつでも来てけろ。」
おいおい泣きながら父が沖を見ると、一つ岩が出てきて、どんどん大きくなっていった。
その島では確かにウニやアワビがよく捕れ、魚が群なすよい漁場となった。いつからか浜の人々はこの島を娘の名前をとって「ヨシ島」と呼ぶようになった。

レポートと解説

冒頭のヨシ島の写真は、「江差町役場」様より借用いたしました。感謝です!

国道227号線沿いにの道の駅「江差」横にある繁次郎像の沖合いに見える島です。
手前にもう一つ見える小さい岩がタンカラ岩のようです。

泊出身の私の母に聞いた所、
「あー、ヨシ島ね。友達とどちらが先に島に泳ぎ着けるか競争したよ。
でも、そんな伝説は一度も聞いたことがないね。」
とのことでした(´・ω・`)
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