「箱館写真の時代 幕末と明治初期に撮られた箱館写真」まちづくりセンターにて開催

ブリュネさんとその仲間たち

2013年5月25日(土)から函館市地域交流まちづくりセンターにて、函館市中央図書館などが所蔵している写真約30点を、オリジナル解説を加えて展示するそうです。入場無料で6月5日までの開催です。

「はこだて写真の会」さんが主催していて、4月中旬から5月11日までは東京都内で同じ展示会を開催していたとのこと。

この写真たちは、幕末期から明治初期にかけての国内の写真黎明期に箱館で撮影されたものを中心に紹介するそうで、榎本武揚や豪商として知られる相馬哲平、ブラキストン、箱館戦争に従軍したフランス軍人ジュール・ブリュネ(上記写真・前列左から2番目)などの人物の他、箱館奉行所の写真もあるそうですよ。

ジュール・ブリュネさんのお名前があったので思い出したのですが、彼は箱館戦争時にフランスに帰っても良かったのに帰らずに旧幕府軍と共に戦ってくれたという、映画「ラスト・サムライ」のモデルとなったとも言われているフランスの軍人さん。そのブリュネさん、フランスに「大君(タイクン)の刀」なる日本刀を持ち帰っていて、現在でも子孫が大切にしているというのです。
この刀には松前藩の家紋が入っており、「大君の刀―ブリュネが持ち帰った日本刀の謎」という書籍によれば、戦利品を分配する段階でこの貴重な刀を榎本なり松平なりがブリュネにこそふさわしいと判断して渡したのでは、とあります。

主君にいただいた刀を後生大事に取っておく、という文化がフランスにあるのかどうかわかりませんが、まさにサムライに相応しいエピソードだなぁとこの本を読んでちょっと心が震えました。

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写真に関してですが、実は函館は日本三大写真発祥地の一つと言われていたりします。なぜなら、領事やロシア人医師のゼレンスキーから写真術を学び明治元年に写真館を開業した田本研造さんが居たから。彼は、激動の時間が流れていた当時の箱館でたくさんの歴史の一場面を撮影、その写真が現在に残されているのです。後進の指導にも熱心で、彼の開いた写真館からはたくさんの写真師が誕生したそうです。

今回の写真展示でどれほど田本さんの撮影した写真があるのかはわかりませんが、田本さんの功績に敬意を表しつつ古写真を眺めたいものですね。

市中央図書館に所蔵されている古写真はデジタルアーカイブで見ることはできますが、実物から醸し出される時代の空気感を感じたり、「はこだて写真の会」によるオリジナル解説を見られたりと、行ってみる価値大アリですね。多分行きます。行きたい。