茂辺地の犠姫:北斗市(旧上磯町)

茂辺地川では鮭が多く捕れ、古来よりアイヌ人たちはこの鮭を捕らえて生計を立てていた。 後年、下国氏がここを領してからも領民たちはこの川の鮭を得ていたが、ある年のこと鮭が一尾も川に入らず、 それ以来数年続いたので、鮭によって生計を立てていた領民は非常に困った。

たまたま領主の夢枕に「汝の愛姫を海神に捧げれば、漁は前年の倍になるであろう。」と告げるものがあった。
驚いて目を覚ました領主は、ふさぎこんだ。自分の娘は18歳、花のような美しさだった。とても、そんなかわいい娘を捧げることなどできない。
姫は、苦悩する父にその訳を尋ね、父はとうとう夢のお告げの話を打ち明けたが、「お前は何も心配することはない。」と付け加えた。
それを聞いて熟考していた姫は、「領民のために、私が犠牲になりましょう。どうか先立つ不幸をお許しください。」と言い、 驚き止めようとする父の手を振り切って外に出た。
断崖の上から望むと、海は深く藍を湛え、秋月に照らされて銀鱗が躍るが如く見える。 姫は合掌して領民と父のために祈りを捧げ、やがて数十丈もある断崖から海中に身を躍らせた。
急を聞いて駆けつけた家来たちが崖を見ると、すでに姫の姿はなく海面にはただ白沫の散るのが見えるだけだった。

それ以来、お告げの通りに鮭は以前の倍も捕れるようになった。

レポートと解説

茂辺地の地名の由来はアイヌ語でモペツ(静かな川)。
かつて茂別館があり、伝説中にある下国氏はこの茂別館館主でした。
現在、姫が身を躍らせたと思われる断崖は、国道228号線の拡張等のため、すっかり削られてしまいました。
また、鮭が捕れるように犠牲になるという同種の話が、近くの戸切地川にも残されています。
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