- 見つからない石の祠
ある木こりが3、4人で白神様のある白神岬の山中に入ったところ、苔の下に石の祠が見えた。 驚いて村に帰り、掘り起こそうと大勢の人を連れて行ったが、その場所にはなにもなくなっていた。
また、違う人が同じ場所でその石の祠を見つけ、枝を折って印をつけて里に帰り、人を連れて行ったところ、 どうしてもその場所がわからなかったという。
白神海岸を西北へ回ると赤神というところがあるが、この二つは対になっている神様だという。 - 祖鮫明神(海の伝説)
昔、白神岬の磯に海の荒神をまつった祖鮫(そごう)明神があったという。
ここで船が転覆しそうになったとき、船長が祈ると大きな鰐鮫が現れて海が静まったということから、 建てられたという。また、この岬の海中には大タコがいて、海上に近づくと青空が赤くなるという言い伝えもある。
さらに、この岬の荒磯山(天狗山ともいう)には、海を挟んで向かい側の竜飛岬から天狗が飛んできて、 福島の檜浦の沢というところに入り、まるで火が飛ぶようだったという伝説がある。
レポートと解説
北海道最南端の地で、ここから本州の竜飛岬まで19.2kmだそうです。(写真は対岸の竜飛岬)
いつも風が強い岬。ですが、この日は珍しくほとんど無風状態でした。
祖鮫明神について
鮫が沖合を通るとニシンやイワシ等は皆これを恐れて陸岸の方へ逃れようと近づいてくるので、漁師は網を張ってこれを獲るのです。
もし鮫が来なければ、これらの魚は沖を通って村には魚が来ないと考えられていたそう。
そういうわけで、鮫は村に大漁をもたらす神様であると考えられていたので、報謝と豊漁祈願の神として住民から篤い信仰を受けた神様なのだそうです。
なお、祖鮫明神は健在で「白神神社」として福島町松浦にあります。
同じく鮫を祀っている神社は北海道には二社しかなく、もう一社は石狩市の石狩弁天社です。
また、「江差百話(江差民話研究会)」によると、江差の五勝手地区には鮫踊りという盆踊りの一形態があるそう。
この踊りの成立には、上記のような理由で大漁の神様として感謝の意を込めて踊った、という説。もう一つは、鮫が鰊を追って網を食い破り網に入った鰊を食い荒らす、鰊の魚道に出現してその進路を変えてしまう、というやっかい者だったため、漁師たちは網の中に鮫がいると、棒で叩き殺していたそうで、その霊を慰めるために踊った、という説があります。
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